5月2日発売の僕だけがいない街8巻(最終巻)のあらすじや、伏線・考察・感想をまとめました。
8巻掲載分の話(41話~44話)についてはそれぞれ単独で考察して記事にしていますが、ここでは総括という形で改めてまとめさせていただきます。
また、新たな発見があった場合などは随時更新していきます。
ネタバレ満載なので本作を見ていない人はご注意下さい。
8巻のあらすじ・ネタバレ
まず8巻の大まかな概要をネタバレしていきます。
本筋と関係がある流れだけを抜き出していますが、
もう少し詳しいネタバレが知りたい場合は各話ごとのページをご覧ください。
41話【待たせたね 2005.08】の概要
- さざんかの集いの会場、山茶花池公園に到着して、写真を撮ったり、スタンプラリーをしたりして楽しむ一行
- 八代はネットの掲示板に、悟と久美ちゃんの関係を書き込んだり、ガムテープやロープなど犯罪に使うと思われる道具を運んだりして工作を進める
- アイリを見て記憶が戻った悟が、ケンヤに電話をした時の回想
- 真犯人が八代で、現在は西園市議であるということをケンヤに伝える
- 「さざんかの集いで八代が、久美ちゃんを殺害して悟を犯人に仕立て上げる」と予想し、悟、ケンヤ、澤田で対抗することを決意
- 八代は佐知子の携帯で久美ちゃんを“やまぶき荘”に呼び出すが、悟は久美ちゃんに別の携帯を持たせることで久美ちゃんの危機を回避する
42話【目標 2005.08】の概要
- 久美ちゃんの無事を確認したケンヤが悟に電話で報告する
- 久美ちゃんが山荘を出たこと
- ケンヤは、本来八代が久美ちゃんを呼び出していたやまぶき荘にいて、これから久美ちゃんが行くことになっているさざんか荘に向かうこと
- 澤田は八代の仕掛けを回収して、八代が逃げる時に備えて駐車場に潜伏する
- ケンヤから悟の電話に「久美ちゃんが集合場所に来ていないこと」「やまぶき荘には何の仕掛けもなかったこと」が伝えられる
- 久美ちゃんの手がかりを探るべく、悟が佐知子に違和感を尋ねると、「八代が来ていること」と「悟が持っていた水筒がなくなっていること」を指摘される
- 久美ちゃん視点
- 久美ちゃんのスケジュール表の時刻が修正されており、今すぐさざんか荘に行かないといけないと思い込む
- 行った先に悟のメモらしきものと水筒があり、メモにはボートの場所に誘導するような文章が書かれている
- 睡眠薬が入っていると思われる水筒の中身を飲んでボートへと向かう
- 悟は久美ちゃんがボートに乗せられて連れて行かれたと予想し、すぐに久美ちゃんを追いかけようとする
- その時『水筒』や『薬物』から小学校時代に美里を餌に自分が罠にかけられたことに思い出したり、やまぶき荘に仕掛けがなかったことを思い返して、自分が八代のターゲットであることに気付く
- 八代が橋の上で仕掛けを施しているところに悟がやってきて両者は対峙する
43話【告白 2005.08】の概要
- 橋の上の八代と対峙する悟
- 八代は悟が目の前に現れることを予期していたが、久美ちゃんのスケジュール表の時間を15分早く書き換えることで作ったアドバンテージが無になるほど早く到着したため驚愕
- 八代の目的は、記憶が戻った悟の「他者の死に抗う姿」なので、あえて悟の記憶を取り戻すために過去に使用した手口の仕掛けをした、と悟に話す
- 悟は八代と本音で話すために八代の目前まで進む
- 悟が未来から来たことを告げると、ケンヤですら信じなかったことだが八代はすんなり信じる
- ここで終わりにするよう八代を説得するも、八代はそれには応じず、悟と一緒に死のうとする
- 実は歩けるようになっていた悟が、火だるまの状態から八代と一緒に橋の上から池に飛び込む
- 2人はボートに乗ってスタンバイしていたケンヤと澤田に助けられる
- 八代は水面に映った自分の姿を見るも蜘蛛の糸がなくなっており、苦笑する
44話(最終話)【僕だけがいない街 2012.01】の概要
- ケンヤとの会話
- 八代は死刑囚として刑務所に収監中
- 八代は悟の事件以降は久美ちゃんの件まではこどもを狙わなかった
- 色んな人物の現在の描写
- 久美ちゃんが高校の合格の通知、悟が高卒認定の通知が届き、それに対し佐知子が号泣
- 悟の文集「僕のヒーロー」
- 大人になったらワンダーガイのような漫画を描きたい
- 信じあえる仲間と力を合わせて敵のボスをやっつけた
- 失敗しても諦めずに、何度でもスタートして最後に成功したい
- 悟は漫画を描きながらユウキさんからもらったワンダーガイのレコードを聞く
- 佐知子が文集を見ながら『全部…叶ってるべさ…』
- 悟は目覚めて以降リバイバルは起きておらず、「眠らなかった時」の記憶が薄れていっている
- 『僕だけがいない街』『そこに刻まれた時間こそ僕の宝物だ』
- 最後に悟がリバイバルした場所(悟が逮捕されアイリと別れた場所)でアイリと偶然出会う
8巻の伏線一覧・考察
41話から44話までの伏線や謎、考察のまとめです。
また、個人的に気になる発言やモノローグ、重要だと思う情報も挙げていきます。
41話
- ネットの掲示板に悟と久美ちゃんの関係を書き込む八代
- スケジュールを受け取る久美ちゃんと、スケジュールを配る八代
- 久美ちゃんのスケジュール表は八代に書き換えられたものを渡されたのだと思われる
- 佐知子からメールで呼び出される久美ちゃん
- 悟が送ったメール
- 考え事をしてネギを折ってしまう佐知子
- 5話で佐知子が「誘拐犯が18年前の容疑者だと思い至ったシーン」と同様の描写。八代(古賀と名乗っている男)のことを思い出した?
- 久美ちゃんの携帯に佐知子からりんどう荘に来るようメールが届く
- 佐知子は携帯がカバンにないことに気付く
- 40話で八代が佐知子のカバンを受け取った時に取った?
- 八代は西園議員であることを確認する
- 18話でのアイリの話より
- 車の車種、悟の行動の経緯から、ケンヤは八代の犯行を疑っていた
- 八代はあえてヒントを残して自分の存在をアピールしたかった、と悟は推測
- 八代の動機は悟が死に抗う姿を見ることなので、悟に警戒させたかった?
- 八代が佐知子を装って久美ちゃんにメールをするだろうと悟は予想した
- 前の世界ではアイリの携帯に悟を装ったメールがきた(15話)
- 佐知子を装った八代から「やまぶき荘」に呼び出しメールが来たものを、「りんどう荘」に変えて久美ちゃんに転送する
42話
- ケンヤのスケジュールではさざんか荘の集合時間は19:15
- 久美ちゃんのスケジュールは八代に書き換えられ、19:00になっている
- 八代の頭上に蜘蛛の糸
- 八代が久美ちゃんを呼び出したやまぶき荘には何の仕掛けもなかった
- 八代は悟達の妨害を予測していた
- 佐知子は八代に気付いていた
- 4話と同様
43話
- 八代は久美ちゃんのスケジュール表に細工
- 41話で久美ちゃんに渡しているのは八代
- 八代『僕にとって殺す意義があるのは…「他者の死に抗う」君だ。記憶を取り戻した悟だ』
- 八代の動機
- 八代の仕掛けは悟の記憶を取り戻すためのものだった
- 「心のなかに空いた穴を埋めたい」
- 28話。オリジナルの時間軸で連続誘拐事件に立ち直れていない悟に対し、八代が卒業式の日に言った言葉。
- 加代をかくまったバスの車中の絵
- 八代が犯行に及ぶ前に、悟が加代をかくまった
- 「八代先生の言葉だよ。こういう時ほど普段通りに落ち着いて…」(22話)
- 悟が言っているのは、「心配事や悩んだりしている時ほどきちんと普段通りの生活をして心を落ち着かせるんだ」という前のリバイバルの時の八代のセリフ(13話)なので、この時の八代も少し不審がっているようなリアクションを取っている
- ユウキさんと白鳥食品
- 加代の事件の前にユウキさんにアリバイを作ったこと?美里を助けようとする際に白鳥食品の車を見て八代に罠にかかったこと?
- 中西彩とカズ
- 中西彩が誘拐される前に、仲良くなって一人ぼっちでいるのを阻止したこと
- 「勇気ある行動の結末が悲劇であっていいハズがない」
- 24話で雛月を救った悟に八代がかけた言葉。
- 助かった久美ちゃんと佐知子を確認する悟と八代
- 「…悟、何も無いよ」
- 悟の頭上には蜘蛛の糸が無い
- 「人の意思のちからは医学をも超えるらしいよ」
- 39話の北村先生の言葉
- 自分の頭上に蜘蛛の糸が無いことに気付いて苦笑する八代
- 32話で自分の頭上に蜘蛛の糸があることに気付いた時と同じポーズで同じリアクション
44話
- 1992年に「恋敵」を殺害して西園姓を手に入れ
- 本編にも小説版にも描かれていない
- 西園志郎も殺害して
- 小説版で書かれている
- 悟殺害未遂から久美ちゃん殺害未遂までこどもは狙われていない
- 小説版とは異なる
- オリジナルの世界では八代は子供の殺害を続けていた描写があったため、これは悟の功績といえる
- 見開きの町の様子
- 2003年(33話)と2012年(44話)の実際の京成船橋駅付近の様子が再現されており、SOBU後ろのマンションが完成していたり、高架化していたりする
- 文集にて「漫画家になりたい」
- 8話で「自分が何書いたか読み損なっちまった」という悟のモノローグや、11話で加代が悟の夢を知っていたことが伏線となっている
- 悟の仕事場には、久美ちゃんからもらった千羽鶴や病院のベットに会ったぬいぐるみ、ユウキさんからもったペーパークラフトなど、色んな物が飾られている
- 佐知子に言われて傘を持っていく悟
- 最終コマの布石
- 1話ででてきた編集者が再登場
- ボロボロの文集
- 8話ででてきた文集と比べるとボロボロになっており、悟の世話の時に心の支えにしていたことが伺える
- 西園まなぶ事務所だったところが空きテナント
- アイリと一緒に子供を助けた建物が「こまつ小児科」になっている
- 僕だけがいない街 そこに刻まれた時間こそ 僕の宝物だ
- 佐知子からのメールの題名が「Re:Re」
- アニメOPのタイトル
- 佐知子の登録名が「母 携帯」
- 2話では「藤沼佐知子携帯」となっていた
- 高架下に駆け込むアイリが描かれている見開きページ
- 18話で悟が逮捕される前に、アイリが悟のもとに駆けつけるシーンと同じ構図
- アイリがカメラケースらしきものを持っている
- 『未来は常に白紙だ 自分の意志だけが そこに足跡を刻める』
- 24話で加代が保護された時と同じ言葉
- 2人が寄り添っているような足跡
- 佐知子に促されて持ってきた傘で、アイリと相合傘をしている様子を連想させる
あとがき
以上、僕だけがいない街8巻のネタバレと考察でした。
8巻は最終巻として相応しく、ものすごい密度の内容でしたね。
物語としてもモヤモヤが残ることなくすっきり終わりましたし、
重要な伏線も恐らく全て回収されたと思います。
最終巻は名シーンばかりで、一つ一つ取り挙げて感想を書いていきたいのですが、
とんでもなく長くなって駄文になってしまいそうなので、
個人的に印象深かったものを2つだけ。
- 悟の告白を信じる八代
- ボロボロになった文集
僕街の唯一の悪役として悟を終始苦しめた八代ですが、
その八代だけが悟を信じて理解できたり、悟も八代の言葉に大きな影響を受けていたりして、
この関係性が本当に好きです。
そして、植物状態になった悟をずっと一人で診てきた佐知子ですが、
その佐知子が、あの文集を持っていたのは僕街屈指の演出だと思います。
序盤に悟は文集を佐知子に見せないようにしており、綺麗な状態で置いていたのが、
最後にボロボロの状態で佐知子が持っているわけです。
余計な説明をせずにこれだけを見せられると、
佐知子の心情が想像させられてかなり破壊力がありますね。
この2つが特に個人的に印象的でした。
さて、僕街は6/4発売ヤングエースから外伝も連載されるので、
また随時このサイトも更新していこうと思います。
是非、楽しみにして頂けたらなと思います。
アニメから入ってコミックで追いかけて、ようやく追いつきました。
考察お疲れ様です。楽しく読ませて頂いています。本当に納得の最終巻でしたね。
43話の橋の上での『だってこれ・・・僕の言葉じゃないんだ』は第五巻の最後の八代の言葉に被せてるんですよね。こういうところ、本当にぞくぞくします。
外伝その他も楽しみにします。
雑誌が出てこなかったは残念でした。きっと、戦後最大の猟奇事件みたいなタイトルのような気がするのですが。
最初のタイムラインの被害者のうち、悟の子供時代の被害者とその後の子供は救われたのですが、加代以前の被害者(ケンヤの父親の担当事件など)は救われていません。これって、どういう差別化なのでしょうか?
あと、さざんかの集いで久美ちゃんが属しているJr1班が久美ちゃん一人、というのはいささか無理があるような気がします。あんなに大勢参加しているので。
久美ちゃん一人にしないと、他のJr1班の子供がいたとき時刻の相違に気付かれる恐れがあります。
八代が議員の立場で名簿の操作できると思いますが、証拠が残ってしまいますね。
外伝にはユウキさんと悟の再会もあるのかな?
ケンヤの父親はどうしたのだろう?
悟のリバイバルが起こる前提が悟が関わることでマイナスの事象がプラマイ0に、悟にとってはプラマイ0がマイナスになったりするって捉えられてる。
なんでもかんでもリバイバルが起こって悟がなんでも問題解決できるとか言うなら世界から殺人事件や死亡事件は起こらないわけで。
ケンヤの父親の担当事件などは5巻でケンヤは隣の市で起こったと言っているから八代が関わっていても悟が関わることができないことだったのリバイバルで事件が起こらなかったということにはできなかった。
ただ八代は逮捕後時効の件でも全て自供したと言っていてその中にはケンヤの親父の担当している事件も含まれているだろう。ケンヤは「失われた時間はもう戻ってこないけど冤罪によって苦しんでいる人たちの苦痛を少しだけでも和らげる事ができたんじゃないか」と言っていることからそれで終わりってことだと思う。
久美ちゃんの件はJr1班は他にもいたはず。久美ちゃんはメールで呼びだされて寄るところあるから先に行っててって言ったその時にいた子達が1班だったんじゃないかな。
他の子供たちと紙を見ながら次のスケジュールを見るってことも八代の準備でそうさせないように仕組んでいたと思う。そもそもこの企画は八代がすべて計画してやっていることだしね。そのぐらいは容易いはずだわ。
それにさざんか荘での荷物運びの直前にやまぶき荘に呼び出しているし、それが回避されることも予想して更にスケジュールも細工しておいたってことだったから久美ちゃんが次の予定を確認するときは一人なのは予定のうちだってことでしょ。
1点だけ気になるとしたら、40話ラストで八代が心内語で言っていた「始まりの時間」は何を意味していたのでしょう?想像力が足りないせいか、理解できません…
悟before(DVD特典)では
オリジナル時間軸の悟が
笛のことで母と話す外伝シーンがありますが、
さちこお母様が
今日は雪の予報だよ
っていって
その時子供悟は
それがなに?
と冷たく返すシーンが
ありますが
これは最終話の
傘を持つシーンと対比
されていておぉ!と思いました
いつも考察、楽しみにしています!
橋からおちた八代の顔に髭がなくなってたのは何か意味はあるんでしょうか?それともミス?
ちょっと不思議だったのでご質問しました!
八代のヒゲはつけヒゲです。水に落ちた時に取れたのでしょう。
第7巻での公衆トイレでの西園から古賀への変装が根拠です。
初めまして。
考察を読むと、今まで気付かなかった作者のメッセージが沢山あったことに驚きます。
前の世界で愛梨の携帯電話番号を記憶していて、いつか電話するのかと思ったら最後までしなくて……あれは何の伏線だったのでしょうか?
故 江戸川乱歩先生の言葉を借りるなら、「現世は夢、夜の夢こそまこと」と、八代 学の人生は、そんな感じではないのだろうか?。
実兄を殺した時から、悟が意識を無くすまでが、「現世の夢」であり、意識を無くしてから、悟との最後の対決までが、「夜の夢こそ真」ではないか?。と思ってしまう。
まあ、私見では有りますが。
同じ事は、リバイバル能力を持った、悟にも言えると思う。
作者の意図としては、歩行器を使う状態の悟にとっては外出して会いに行くというのは普通では有り得ないことで、電話番号が分かっていれば電話で話をするというのが無難な選択ですが、そこをあえて勇気を出して電話番号を握り潰して一歩踏み出す、という事を象徴させるためだと思います。
その小道具が必要だったかと問われると、電話番号のくだりが無くてもユウキさんの手紙から会いに行くという流れで特に違和感は有りませんが。
あんまり重要じゃないかもしれないですが、八代が収監された場所が千葉刑務所から東京拘置所に変わってました〜。
外伝が楽しみです!やっぱり僕街ですね
スケジュール書き換えトリックで久美を見失ったわけですが、もともとの計画はどうだったんでしょうね。久美が無事だったとしたら八代のやったのは、練炭と目張りと、携帯と水筒盗難くらいですからねぇ。
事前の話では八代の計画を潰す過程で「何か決定的な証拠を掴む」とありますが、練炭と目張りだけでは「追い詰められるほどの材料が揃っていない」としたら久美を直接攫うところを捕まえるつもりだったとしか思えません。
「『自分(サトル)が囮になる』みたいなのはやめろよ」と言っておきながら思いっきり久美を囮にして、しかも守れずに傷付けているという。睡眠薬だからいいものの致死性の毒だったら死んでるし、それでも八代の計画としては問題なかったハズなんですよね。悟へのメッセージは水筒に薬を入れるってだけですからね。
初めて書きます。こちらの考察、深くて詳しくて、辞書みたいに使わせてもらっています。私もアニメから入って単行本で追いつきました(another recordも)。読み終えて真っ白な灰状態だったのですが、ふと疑問が。中西彩ちゃんには蜘蛛の糸があった(八代に見えていた)のでしょうか?ユウキさんに目を向けさせるためかとも思いましたが加代を助けたあとのターゲットだからどうも腑に落ちません。細かいところですみません。伏線とか何かあったら教えて下さい。
アニメも映画も小説も、原作とは違うパラレルワールド的なものとして捉えた方が良いかと思います。何故ならばメディア特性や尺の都合で、細部を改変したり同じ事象でも別解釈をしていたりするからです。
件の蜘蛛の糸ですが、原作で見えていた人物は、八代兄、婚約者、八代本人のみです。アニメのOPで印象的な女性3人の頭上に見えていた描写は原作にはありません。原作では悟の頭上に今も昔も無い事がポイントですが、アニメでは悟の頭上に有り続ける事で、原作とアニメでは蜘蛛の糸の解釈が違うことが明白です。また小説の蜘蛛の糸は「救済」と結びつけられていますが、この世にそれほど絶望しているとも思えない彩やヒロミは全く登場していません。登場させると「救済」という解釈に齟齬が生じるためだと思います。
八代の過去の話で「狙うのはひとりぼっちで居る女児」「複数の目標(ターゲット)をストックしておく」というのがありました。原作では、蜘蛛の糸が見えたからとか救済のためなどという御託は並べず、自分の心の穴を埋めるため「生」を実感するために無作為に狙いやすい女児を選んでいたものかと思われます。これを深みがないと取るか、誰にでも降り掛かる凶事と気味悪く取るかは読者次第です。
なので、彩の頭上に蜘蛛の糸は無かったと考えます。「有る」事を証明するのは簡単だけど「無い」事を証明するのは難しいという命題と同じで、絶対に無いとは言い切れませんが…。
わかりやすい解説ありがとうございました。悟の上に「無いんだ」って事は他の被害者にはあったのかも(小説でいう救済する事って、人それぞれ、その時その時で、その人にとっての重さが違うから)なあって妥協してたのですが、混同してました。お騒がせしてすみませんでした。
アニメに出てくる青い蝶は何だったんだろうと思ったら、原作の44話に答えが。八代の能力(蜘蛛の糸)に対抗する悟の能力(リバイバル)の象徴なんだなと。
八代の計画としては、佐知子の携帯からのメールで久美ちゃんをJr1班の他の子から引き離して1人で行動させる → スケジュール表に施した細工を久美ちゃんだけが見て次の作業に向かわせる → 指示通りに水筒を飲んでボートに乗せさせて溺死 → 悟を吊り橋におびき寄せて殺す → 久美ちゃん殺害犯は悟で、被疑者死亡で解決。被疑者殺害犯は不明 というシナリオだったと思います。
掲示板への書き込みは、久美ちゃんの身に何か起こった時に真っ先に悟が疑われるようにするための細工で、例の犯人を予め用意しておくというやつです。
久美ちゃん殺害の犯人を悟にするとしても、生かしたまま警察に逮捕させたらどんな証言をしだすか分からない。時効になっているとはいえ1988年の水没事件の証言をされたら、現在市議になっている八代には致命的。なにより自分の手で悟を殺すことを待ち望んでいる八代には、悟を生かして警察に逮捕させるなんてもってのほかでしょう。
1988年の水没事件と同様に犯人は用意しない、それでも捕まらないという自信の表れか、悟に敬意を表して特別扱いしたのか分かりませんが。
練炭は久美ちゃんを殺すためではなく、悟の記憶が戻っていなかった場合に回復を促すためであり、やまぶき荘に無く他の3箇所にあったというのは、悟以外の協力者(ケンヤと澤田さん)が来ていたとしても、3人それぞれが仕掛けのあった場所を見張ることによりやまぶき荘がノーマークとなって、人知れず久美ちゃんを誘導する事が出来るため。またケンヤ達の警戒を油断に変えるためでもあったと思います。
悟達の計画は「最優先なのは久美ちゃんの安全」「久美ちゃんの笑顔を絶やす事無く 八代の計画のほころびを見つけた時こそ」なので八代の出方待ち、何を仕掛けてくるか分からず、どんな証拠が得られるかは分からないので、漠然とした”何か”なのでしょう。とにかく八代の計画は阻止しようというものだったと思います。これ以上被害を出さないため決着をつけるためにもここで「何か決定的な証拠」を掴みたいという希望とか狙いを口にしたものだと思います。
しかし練炭の仕掛けを無効化した!!という”油断”によって、ケンヤは久美ちゃんを見失ってしまいます。
もし練炭の仕掛けが無かったら、他に何かあるんじゃないかと絶対に久美ちゃんから目を離さないでしょうし、本来呼び出されたやまぶき荘に確認に行くなんてことも無かったでしょう。
悟に協力者が居た場合に排除するための用意周到な巧妙な仕掛けと言えます。
「まだ八代を追いつめられる程の材料が揃ってない」からこそ、更なる手掛かりを求めてやまぶき荘に行って久美ちゃんを見失ってしまったというのもあると思います。
なので意図的に久美ちゃんを囮にしたというより、事が予想通りに運びすぎる油断から、久美ちゃんを危険に晒してしまったと捉えています。それだけ八代が上手(うわて)と言いましょうか。
致死性の毒を用いると犯人である悟がどうやって入手したかが問題になりますが、子供用睡眠薬なら普通にドラッグストアで売っています。ケンヤ父の事件の時の残り(有効期限切れてるでしょうが)が有るかもですし。あと悟が久美ちゃんの危機を阻止できるかの挑戦状的な意味も有ったでしょうし(阻止してくれれば「生」をより実感できる)、ボートからの救出をさせることによって吊り橋の仕掛けをする時間を稼ぐためでも有ったと思います。一番のターゲットは記憶を取り戻した悟なのですから。
ずっと手袋をしているので指紋なんて物的証拠は残していないでしょうが、スケジュール細工と携帯窃盗の他にボートに穴を開ける、吊り橋に灯油と導火線を仕掛けるがあります。偽装と窃盗と器物損壊罪、物的証拠ではまだまだ弱いですね~。
やはり八代の心をへし折って、自供させるのが一番だったわけですね。
はじめまして。最近僕街にハマり、ここに辿り着きました。ハマった理由は映画で、急ぎアニメチェック、そして漫画と管理人様から見れば逆順で来ました。だからなんでしょうが、映画もアニメも原作では描けなかった未完全エンディングと受け止めれば少しは楽かな?と。比較対象にしてしまうと荒さや時間都合が如実に感じますが、同一作品でここのフラグ立てなかったから未完全エンディングになった…そう思ってます。漫画最終刊で映画化やアニメ化のタイミングが記載されてましたのであのエンディングは仕方ない事。最短コースで向かってしまった為に自身の悲劇を回避出来なかった映画、植物状態から回復したも数手足りずに回収しきれなかったアニメ、そして回収しきれた原作漫画。きっと悟も気付いてない再上映が二回あったと思いましょう!これからの外伝を楽しみにブログ更新楽しみにしてます。乱文乱筆失礼しました。